TogoMCPとは?Claude DesktopでDBCLSの生命科学DBに自然言語でアクセスする方法
TogoMCPは日本のDBCLS(ライフサイエンス統合データベースセンター)が開発した生命科学向けMCPサーバーです。UniProt・PubChem・ChEMBL・PDB・Reactomeなど20以上のデータベースに、Claudeから自然言語で直接アクセスできます。この記事ではClaude DesktopへのTogoMCPの設定方法と、バイオインフォマティクス研究者が実際に使える具体的な活用例を紹介します。
MCPが何かをまだ知らない方は「MCPとは何か?」を先にご覧ください。Claude Desktopのインストール方法は「Claude Desktop セットアップ記事」をご参照ください。
この記事の情報は2026年6月時点のものです。設定方法・対応DBは更新される可能性があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。
TogoMCPとは
TogoMCPはDBCLSのRDFポータルが集約する約60の生命科学データベースへ、AIが自然言語でアクセスできるようにするMCPサーバーです。2026年3月にDBCLSが公開し、bioRxiv(Kinjo et al., 2026)に論文が掲載されています。従来はSPARQLという専門的なクエリ言語の知識がなければ利用できなかったRDFポータルを、自然言語で誰でも使えるようにした点が最大の特徴です。
対応データベース一覧:
PubChem
ChEMBL
PDB
Reactome
ClinVar
MeSH
NCBI E-utilities
Rhea
ChEBI
GTEx
TogoID(65+DB)
RDFポータル(60+DB)
Claude Desktop への導入方法
TogoMCPはリモートサーバー方式のため、ローカルへのインストールは不要です。設定方法は2種類あります。
方法①:JSON設定ファイルを編集する(Claude Desktopアプリ)
設定ファイルの場所:
・Windows:C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Claude\claude_desktop_config.json
・Mac:~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json
設定ファイルを開いて以下を追記してください:
{
"mcpServers": {
"togomcp": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "mcp-remote", "https://togomcp.rdfportal.org/mcp"]
}
}
}
ファイルを保存後、Claude Desktopを再起動してください。
⚠ すでに他のMCPサーバーの設定がある場合は、"mcpServers" の中に追記する形にしてください。
方法②:カスタムコネクター設定(Claude Pro・Team・Enterpriseプラン)
手順:
1. Claudeを開き、「設定」→「コネクター」に移動
2. 「カスタムコネクターを追加」をクリック
3. MCP サーバーURLに以下を入力:
4. 「追加」をクリックして完了
5. チャット画面で「検索とツール」ボタンをクリックしてTogoMCPを有効化する
動作確認
UniProtでヒトのTP53タンパク質の基本情報を教えて
画面上にTogoMCPのツール使用が表示されれば接続成功です。
方法①ではNode.js(バージョン18以上)が必要です。インストールされていない場合はNode.js公式サイトからインストールしてください。Windowsの場合、インストール後にPCを再起動してから設定してください。
TogoMCPでできること:具体的な活用例
TogoMCPはSPARQLという専門的なクエリ言語の知識がなくても、自然言語で複数のデータベースを横断検索できます。以下にバイオインフォマティクス研究者が実際に使える具体例を紹介します。
発現変動遺伝子のパスウェイ・タンパク質情報を一括取得する
従来はUniProtとReactomeを個別に開いて手動で情報を集める必要がありました。TogoMCPを使えばClaudeが両方のDBに自動でアクセスし、複数遺伝子の情報を一括で整理した表形式で返してくれます。DESeq2などで得られた遺伝子リストをそのまま入力できます(RNA-seq解析の全体像はこちら)。
Reactome検索
TogoID変換
細胞型マーカー遺伝子のアノテーション情報を取得する
Scanpyでクラスタリングしたあとの細胞型アノテーション作業に活用できます。マーカー遺伝子を入力するだけで、各タンパク質が実際にどの細胞型で発現しているか・どんな機能を持つかを素早く確認できます。UMAPで発現を可視化しながらTogoMCPで文献情報を同時に調べることで、アノテーション精度が向上します。
MeSH検索
SPARQL実行
バリアントの疾患関連情報をClinVarから一括検索する
ゲノム解析で得たバリアントリストの疾患関連情報を素早く確認できます。ClinVarへの個別アクセスが不要になるため、多数のバリアントを効率的に調査できます。TogoIDを使ってrsIDからUniProtのタンパク質情報への変換も同時に行えます。
TogoID変換
NCBI E-utilities
タンパク質の構造・化合物相互作用情報を統合取得する
PDBとChEMBLを個別に調べる手間がなくなります。AlphaFold MCPと組み合わせることで、既知構造の確認→予測構造の取得→既知化合物の調査という一連の流れをClaude上で完結させることができます。
ChEMBL検索
TogoID変換
SPARQL実行
エンリッチメント解析で得られたパスウェイの詳細を調べる
DESeq2やScanpyのエンリッチメント解析でヒットしたパスウェイを深掘りする際に活用できます。Reactomeとの直接接続により、パスウェイIDを入力するだけで構成要素・階層構造・関連疾患まで一気に調べられます。論文の考察を書く際のバックグラウンド調査にも有用です。
UniProt検索
SPARQL実行
異なるDBのIDを一括変換してデータを統合する
異なるDBを使うパイプラインではID変換が頻繁に必要になります。TogoIDエンジンにより65以上のDB間でIDを一括変換できるため、手作業でのID対応表作成が不要になります。Pythonパイプラインの前処理として活用したり、複数のDBにまたがる解析結果を統合する際に特に有用です。
Ensembl→UniProt
65+DB対応
他のMCPサーバーとの組み合わせ
| 組み合わせ | 実現できるワークフロー |
|---|---|
| TogoMCP + GEO MCP | GEOからデータセットを取得 → TogoMCPで関連タンパク質・パスウェイ情報を補完 |
| TogoMCP + AlphaFold MCP | TogoMCPでタンパク質・化合物情報を調査 → AlphaFold MCPで構造を取得 |
| TogoMCP + PubMed MCP | TogoMCPでDB情報を取得 → PubMed MCPで関連論文を検索して考察に活用 |
| TogoMCP + bio-mcp-blast | BLASTで配列を検索 → TogoMCPでヒットタンパク質の詳細情報を取得 |
| TogoMCP + PaperScraper MCP | プレプリント検索で最新研究を把握 → TogoMCPで関連遺伝子・タンパク質の情報を補完 |
注意点
- TogoMCPはリモートサーバーです。クエリ内容がDBCLSのサーバーを経由することを理解した上で利用してください。機密性の高い未発表データの入力は避けてください。
- SPARQLクエリは自動生成されますが、複雑な質問では結果が不正確になる場合があります。重要な情報は必ず元のDBで確認してください。
- 一部のデータベースはAPIの利用制限があります。大量のクエリを短時間に実行すると制限される場合があります。
- 設定方法・対応DBは更新される可能性があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。
まとめ
- TogoMCPはDBCLS(日本)が開発した生命科学向け統合MCPサーバーで、20以上のDBに単一エンドポイントからアクセスできる
- リモートサーバー方式のためローカルインストール不要。URLを設定するだけで即日利用できる
- Claude DesktopへはJSONファイル編集またはカスタムコネクター設定の2通りで導入できる
- RNA-seq・scRNA-seq・ゲノム解析・構造解析・パスウェイ解析など幅広いバイオインフォ解析シーンで活用できる
- TogoIDにより65以上のDB間でIDを一括変換できるため、複数DBにまたがる解析のID対応作業が効率化できる
- GEO MCP・AlphaFold MCP・PubMed MCPなど他のバイオインフォ系MCPサーバーとの組み合わせで、より高度なワークフローが実現できる
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